2022/03/25

インタビュー「森の自然こども園東本梅と亀岡型自然保育について」(2)森の自然こども園東本梅とは

園と自然保育について
遊び場三輪車

1.人にも自然にもオープンな子どもたち

_東本梅の子どもたちの特長を教えてください。

【岩﨑】

「人が好き」人懐っこいし人が好きだし、すっと受け入れられる子どもたちだなっていうのは、すごく思います。はじめてでもワーッと周りに集まってきて「なあなあ」って思っていることをお話してくれたりとか。

それから例えば動物のフンをみつけたりしても「わーきたない!」というわけでもなく、「シカのうんちや!」って言ったりとか、まあ危ない虫を見つけたら「あぶないケムシがいる。」とはいうけど、避けたりではなく「あぶないからさわったらあかんでー!」とか言いながら、じーっと観察していたりとか、「このあいだのケムシとちょっとちがう。」とか。
人に対しても物に対しても、スーッと受け入れたり受け止めたりできるのが、すごくよく感じるところです。いい所やなーと思います。本当に。

2.自然豊かな半国山の麓で、地域とつながる

_仲田さんは、本梅こども園、別院保育所、保津保育所でも自然体験活動アドバイザーとして活動されていますが、森の自然こども園東本梅ならではの特長はありますか?

【仲田】

ここで私が意識しているのは、「亀岡型自然保育の発祥の地である」ということです。
長い年月を経て、亀岡型自然保育を振り返った時には色々な事が忘れられてわからなくなると思いますが、ここが発祥の地であったということが一番重要なこと。原点はここにあると思っています。ここならでは、という事だと、地域の皆さんにご協力いただきながら立派な園庭(遊び場)を作って、遊びの多様性が広がっているし、築山に「半国山」という名前がついていて後ろには半国山がある。園があって遊び場があって、駐車場、グラウンドがあって、空が開けてるのねブワーーッとね。それでちょうど航路に当たっているから飛行機がよく見える。そういうのはなかなか他の園では見られない光景ですね。

【仲田】

すぐそこで地域の方がグラウンドゴルフをやっておられたり。たまたま私は青野小学校にも行っているんですが、卒園した子にまた学校でも出会うので、一過性ではなくて、つながりがある。サポート隊「わの会」もある。
地域とか学校とか、皆さんとつながりがあるところが自然保育の根幹をなすものなので、常に直接関わっているわけではなくても、そういう全体の中にここがあるというのは他にはない素晴らしさだと思います。

半国山の麓だから山に散歩に行ってみたりね。沢遊びをしてみたり。できたら今度は「キャンプごっこ」とかもしてみたいですね。安全管理が行き届くし、色んなことができると思いますよ。

半国山散歩

_今年度、子どもたちが作った作品は、仲田さんの言われている園のイメージそのものでした。子どもたちが今生きている場所には、山があって川があって……この地域全部なんだなと。すごく豊かでいい作品でしたね。

【岩﨑】

散歩道でみた柿の木がついていたりとか、実際に見たもの、山にはシカがいるからシカを描くとか、細かい所も。

【仲田】

それらを実際に見て、知っているんですね。

【仲田】

それから、森の自然こども園東本梅には「三つの輪」があると思っていて、
一つはトンネル。子どもたちが出入りしてね。違う世界、別の世界に抜けるような感じとかね。
二つ目はキャンプファイヤーサークル。焚火とかいつもやっているところね、あれもそうやし。
もう一つはビオトープ。大きな輪やから。そんな感じで自分の中では意識づけを勝手にしています。そういうところには一見何もないように見えるかもしれないんですけど、何もない所から見つけるのが本来でね。何にもない所を極めていったら絶対に何かがあると信じている。本当にそういうことが原点ですから、大切に思っています。

3.いい意味で「お友だち」

_田畑さんは、どんな風に子どもたちと関わっておられますか?

【田畑】

草引きをしていると、「なにしてるの?」と来るんですよ。「草引きしてるんやで。」というと、「ぼくも手伝う、わたしも手伝う!」ってみんな草引きしてくれるんですよ。遊びに変えてやってはる。

草をひいて、ひいたやつを今度は手押し車に載せて、どこ行くのかな? と思ってみていると、メタセコイヤの根元に持って行くんです。僕がいつも引いた草を肥代わりにそこに積んでいるのを見てはるんですね。2歳児の子が率先して行く。すごくよく見ているなと思います。

【岩﨑】

コロナの関係もあって廊下で、遊び場の方を向いて給食を食べているんですが、田畑さんが遊び場の草刈りをしようとしているのをみて、子どもたちが「田畑さーん!お先ですー!」と声をかけてから食べ始めたり(笑)

【田畑】

「どうぞー」って(笑)

_どういう関係性でみているんでしょうね?

【岩﨑】

一緒に暮らしている人。職員でもあって先生でもあるけど、時間を共にしている人。年齢が違うだけみたいな。

【仲田】

いい意味でお友だちぐらいの感じよね。そういう感じだからそうなる。その声かけは中々ないと思いますね。

【田畑】

そうだと思います。「お先」はすごい(笑)

_素敵な関係性ですね。楽しそうです。

【田畑】

やりとりがすごく楽しいですね。

【岩﨑】

つぶれたおもちゃとかがあると、直してほしいって田畑さんのところに持って来はりますね。
壊れたものを直してくれる人。

【田畑】

持ってきたら何とかしてくれるやろ、みたいな感じですね。

【岩﨑】

あと危ない虫をみつけたとき。

【田畑】

すごい遠くから呼んではるんですよ(笑)

_何とかしてくれる人! 子どもたちの心の支えですね。

(1)イントロダクション
(3)自然保育について
(4)自然保育で大切にしたいこと

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